H2Oプラス -FOOTPRINTS IN THE SAND-

Date: Sun, 27 Apr 2008 19:37:50 +0900
From: Fukapon
Subject: H2Oプラス -FOOTPRINTS IN THE SAND-

 ペンギンにゃ、みなさま。Fukaponにゃの。

 COMITIA新刊の原稿執筆真っ直中、4月も終わりが近づいてきたので(新刊もヤバいのに)ゲームをやらねば。 とゆわけで、珍しく発売されたばかりのタイトル『H2Oプラス -FOOTPRINTS IN THE SAND-』をプレイ。 言うまでもなくはまじルートを終えたので、レビューです。

 実はPS2でゲームするのってこれが初めて。 双恋用に買ったSCPH-70000(ACアダプタはもちろんリコール対象品)と8MBメモリがついに無駄遣いでなくなりましたよ!

 あらすじ等はいつも通りWikipediaにおまかせして、ザックリといってみよ。

原作と規制の狭間で、当然の割り切りを決めた共通ルート

 私にとってのH2Oはこれが初めてではなく、アニメ版を観ています。 それではまじのサブキャラっぷりに落胆していたとき、PS2版でははまじもヒロインに! とゆーCMを観て予約してしまったわけですね。 と、話が逸れました。

 世界の堅さとでも申しましょうか、設定の脆弱性とでも申しましょうか、要は作中の事象にちゃんと理由が、背景があるのかという点で、H2Oはもともと無理がある作品です。 聞いた話だとWin32版よりアニメ版の方がよくできているらしいのですが、それでも、はやみの状況は理解しかねる場面がありました。 それがPS2版でどうなっているのか。 意識してプレイし始めたわけではありませんが、どうしても、意識せざるを得ない点だったのです。

 Win32/アニメでは凄惨な過去を背負う者、はやみでしたが...。 PS2版では、表現の規制故でしょう、凄惨な過去が表現できないみたいなんですよね。 あわせて、はやみに対する理不尽な、序盤は理由すらないように見えるいじめも。 そこで苦肉の策か、はやみとそれ以外を「悪い子」と「いい子」とした話になります。 共通ルートの終盤(物語の2/3地点)でその理由が、当然ソフトな理由が明かされますが...。 「悪い子」と「いい子」というあまりに汎用的な表現を説得するだけの力は持ちません。 最初から理由もなくひどくいじめられる展開なら、「なんてひどいことを!」と思わせておいて、過去を一気に明かす勢いで押し切れたのでしょうが。 最初から「悪い子」と「いい子」という話が出ちゃってるので、もう頭の中は「悪い子って何?」「いい子って何?」で勢いでは押し切れなくなっちゃってるんですよね。 アニメ版の、無理があっても勢いで押し切るシナリオが好きだったので、ちょっと残念なところです。

 しかし、アニメ版とて無理があり、よく考えると脆弱性にぶつかるH2Oです。 ぐだぐだ言わずに「悪い子」と「いい子」ありきで進めてしまうことを決断したのは、当然とも言える割り切りで、ある意味、原作の血をうまく継いだのではないかと思われます。

 それにしてもなぁ。 表現やら何やらの規制の末、とにかく頭から「悪い子」と「いい子」って分けちゃう話は、ありなの? 本末転倒と言うか、むしろ悪化していると言うか。 理由のわからないいじめなら未知の何か(典型的には未来、明かされぬ過去)に救いがありますが、単に「悪い子」であるという理由を付けてしまったいじめに救いはあるのでしょうか。 制作陣は規制対策をしたまででしょうから仕方ありませんけど、規制をしている側、CEROとかですかね? は少し考えるべきでしょう。

 共通ルートで起こる様々なことは、思いの外、地味です。 アニメ版はテンポよく緩急を付けているタイプだったので、期待していたんですが...。 出会いでキスしたりスカート引きずり下ろしたり以外は、取り立てて甘いイベントもなく、日常の中で淡々とはやみとひなたとの関係を描いています。 故に、PS2版で追加になったゆいとはまじは、この共通ルートではさほど出番がないんですよ。 この辺、もう少しがんばって欲しかったかな。

エロなしだから実現できたかも知れない、はまじルート

 んー、なんつーか、いまいち?

 はまじの女装の理由は、Win32版√aaaでも語られているんですかね? この理由は、はやみと絡めて悪くなかったと思うんですが。 と言うかね、話自体は全然悪くないんですよ。 偶然の再会、同棲EDとか、いいじゃないですか。 女優になっちゃうとか非現実的だけどはまじだから問題なしですよ。 でも、でもね。

 甘くないんだよ。 全然、甘くないの。

 一緒に海に行くシーンでも、なんか、はしゃがないしね。 数年後、大学生になってからのデートシーンでもね、全然べたべたしないの。 はまじは絶対、べたべたの甘党だと思うの。 繋いだ手は絶対離さないし、ふと気付くとキスしてるし、二人きりならぴとってくっついてるの。 それがはまじなの。 断言しちゃうの。 なのに、ストーリーを追うばかりを優先して、そーゆー甘い「余分」がないんですよね。 ああ、そうか、共通ルートもそうなんだ。 話を作ることに精一杯で「余分」がない。 熱く語りたくなる場面がない。 だからいまいちパッとしないんですね。

 それでもはまじをヒロインとして、恋愛でEDを作ったことには感謝しちゃいます。 だって、ねぇ、はまじと同棲だよ? にやにやが止まりませんよ。 はまじを「お前」って呼ぶのは嫌だったけど。 名前を呼んであげたいですよね、やっぱり。

 今回の「はまじED」は、コンシューマ機への移植における可能性の一つかも知れません。 男の娘はどうしても、エロ必須のWin32版だとやりにくい面があるでしょうからね。 まぁ、やっちゃって評判が微妙だったPiaキャロG.O.とか、専門家狙いでやっちゃうCAGE作品とかあるわけですが。 無難にマスを狙わざるを得ない多くの場面で、男の娘のエロシーンは描きにくい。 それに対する補完を、逆にエロ抜き必須のコンシューマ版移植で行っていくのは手堅く、賢い方法かも知れません。 新キャラ追加するよりは低コストでしょうし。

 でさぁ、どうなの? 実際のところ。 はまじが目の前にいたとして、恋愛できるって人はどの程度いるのかね? 私は全然ありですよー。 飲んであげるくらいまでは、なんか、できちゃいそう(ぉ。

キーバインドの難しさ

 いつもならここでシステムの評価にはいるわけですが、ほとんど触れないプラットフォーム、PS2のゲームなのでそれは省略しましょう。 まぁ、総じて不満はありませんでした。 常にギコギコとデータ読み込みが重たいのはハードの制約でしょうから、仕方ないのでしょう。

 一つだけ気になった点を挙げるとすれば、△ボタンの機能です。

 机上で整理すると適切と判断されようバインドなのですが、実際にプレイをすると、△でログを出したあと、消すために△を押しがちなんですよ。 要はトグルしようとするわけですね。 変則的なバインドにはなるでしょうが、やはりここは、トグルできるバインドの方が美しいのではと思います。

 ま、この辺は他の意見の方が多かったりするかも知れませんが。 デザインとは常に、とても難しいものです。

はまじだけを見ている人なら買ってもいいのでは

 まとめ。 5段階評価で3かな。

 すでに書いた通り、さほどおすすめできる内容ではありません。 やはり、魅せ場不足は否めないでしょう。

 それでもやはり、はまじルートには希少価値があります(笑。 はまじ大好きのあなたなら、やって損はありません。

 プレイ時間は約6時間。 今回はボイスをかなり飛ばしていたので、いつも通り聴くともう1, 2時間は乗るかも知れません。 6時間のうち4時間が共通ルート、2時間がはまじルートでした。

 ふと気付けば、エロゲー原作のエロ抜き版をプレイするのはこれが初めてだったりするのですが...。 なんつーか、微妙ですね。 エロは抜いていいんだけど、エッチぐらいは残しておけっつーか。 やっぱり屋台骨たるエロを抜く工事は大変難しいと言うことでしょうか。 魅せ場不足ってのも、ここに多少は根ざしている気がします。

 あと、最後に。 全体的に立ち絵が手抜きなのは改善すべきだったかも。 体操服のはずのシーンで制服。 水着シーンで制服。 ってのはちょっと気になりました。 はまじに限って言えば、説明で「鍵(挿す方)のブレスレット」と言っておきながら、絵が「鍵(受ける方)のブレスレット」だったっつー根本的なところも。 ペンダントは鍵(挿す方)に見えるんですけどね。

 では。 原稿に戻ります。 次は、今更ながら北へ。 かな?

 あれは同棲なんだよね? たまたまはまじが来ていただけなんだろうか。 いや、同棲に違いない。